蘭にとっても母親にとってもそれは地獄の時間だった。


愛する夫の突然の死を乗り越えられない母親。


その母親から虐待される娘。


この時間は一体いつまで続くんだろう?


いつになったら元の生活に戻ることができるんだろう?


蘭はそればかりを考えるようになった。


そしてそれは、唐突に訪れる。


蘭は小学校5年生になっていた。