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「蘭の服、買わないとな」


彰が蘭の後ろでそう言った。


2人で裸になり、ひとつのシャワーを浴びている。


「あたしは、大丈夫です」


蘭は緊張しながら返事をした。


窓から差し込む日差しは眩しいくらいに浴室に反射している。


キッチンのあの薄明かりの中とはまるで違う。


「どうして? 俺の服ばかり着てちゃダメだろ?」


蘭からすればそれも嬉しいことのひとつだったが、彰は気がつかない。


「お金のことなら心配しなくていい。これから先の生活費も考えてバイトしてたから、たくわえはあるんだ。もう、必要なくなったけど」


『もう、必要なくなったけど』


その言葉に蘭は思わず振り向いた。


彰の肌にシャワーの水滴が滑り落ちていく。


病弱であまり筋肉質ではない体。


だけど無駄な脂肪も少しもない体。


つい、視線が吸いつけられてしまう。


気がつかない内に舌なめずりをして、その体をほしいと思ってしまう。