「あ、じゃあ先にどうぞ」


蘭が一歩しりぞいて彰に道を開ける。


しかし彰は脱衣所へ向かわず、蘭を背後から抱きしめた。


突然のことで心臓が跳ねる。


彰が顔を近づけてきて、耳の近くに息を感じる。


「ど、どうしたんですか?」


どぎまぎしながら聞くと彰は「一緒に入ろう」と、ささやいた。


蘭の体温が急上昇していく。


「い、一緒に、ですか?」


1度体をあわせてはいるが、お風呂に入ったことはない。


蘭は一瞬にして耳まで真っ赤になってしまった。


「嫌?」


「嫌じゃ……ないです」


蘭としてはそう返事をする他なかった。


実際嫌ではなかったし、このまま密着されていると心臓がもたない。


それにきっと汗臭い。


すぐにシャワーを浴びてキレイになりたかった。


「じゃあ、行こう」


彰は蘭の手を握って、一緒に脱衣所へ向かったのだった。