「今度はなにをすればいい?」


「あ、次は草むしりです。庭は大きいのに全然使えなくなってますから」


そういわれて、彰はさっき閉めたカーテンを開けてみた。


確かに庭全体が草に覆われていて、庭でなにかをすることはできない状態だ。


草の高さは蘭の腰ほどまである。


「これを狩るのか」


途方もない作業に思えて彰はその時点でため息を吐き出してしまった。


草刈機でもあればいいが、そういうものは置いていない。


あるのは草刈用の小さなカマくらいだ。


手作業でこれ全部を刈り取ろうとすると、途方もない時間がかかるだろう。


「そうです」


蘭はうなづき、軍手をつけた手で草の頭のあたりを引っ張った。


すると、草は意外とすんなりと抜けていく。


「ここは土が軟らかいみたいですね。これなら簡単に抜けそうです」


それならとやってみると、たしかにスルスルと気持ちがいいくらいに抜けていく。


根についてくる土もほとんどんなかった。


「よし、じゃあやるか」


彰は気合を入れて庭に下りたのだった。