そうと決まれば一輪車を押していてもおかしくないような格好をしなければならない。


たとえば、清掃員の制服姿とか。


今度はスマホを取り出してリサイクル品を扱うアプリを起動させた。


ここは規制はあれど大抵なものは販売されているし、価格も安い。


オークションとは違うから値段の競り合いもなく、お金のない彰はしょっちゅう利用していた。


そこで目当てのものを見つけるのはとても簡単なことだった。


清掃員の制服と検索すればいくらでも出てくる。


中には会社名や個人名が刺繍されたものもあり、本来なら転売してはならないものも混ざっているけれど。


その中からなにも書かれていない作業着を選んで購入した。


カードの引き落としにしているので、早ければ明日の昼には荷物が到着しているはずだ。


それからロープやカッターナイフ。


自殺するための道具も必要だった。


気がつけば彰は夢中になって誘拐自殺の準備を始めていたのだった。