あの子と一緒に死ぬことができれば、もう余命宣告なんて怖くない。


そんな気持ちになって、久しぶりに通院目的以外で外へ出た。


行き先はもちろんバイト先のパン屋だ。


余命宣告を受けてからはずっと無断で休んでいるから、堂々と顔を出すことはできない。


パン屋が見える場所で蘭が現れないか見張っていたが、この日は蘭が現れることはなかった。


でも彰は諦めていなかった。


そう簡単に自分の願望が満たされるなんて思っていない。


翌日になると彰は更に入念な計画を立て始めた。


その場で突然襲ったりしたら、あのニュースになった死に損ないと同じ結果になるかもしれない。


まずはあの子を誰もいない場所に連れてきて、それからゆっくりと死ぬ準備をするほうがよさそうだ。


そこですぐに思いついたのは、この家の地下室だった。


普段はなにも使う必要がないので滅多に入らないが、この時は改めて足を踏み入れた。


家を見せてもらったとき以来に踏み込んだ地下室は相変わらず空気が冷たくて、身震いをした。