この講義に出たくないのは彰も納得できた。


講義に参加している生徒は限りなく少なく、とにかく単位のためだけに出席しているという様子だ。


俺はいつもどおりノートをとり、それを印刷してそいつに渡してやった。


だが、次第にその回数は増えていくようになった。


たまには自分で出席しろよ。


そう言うのだが、ろくに返事もしない。


それに元々子供たちの面倒を見ていた彰は、人の手伝いをすることになれてしまっていた。


それが普通だと思っていた部分もある。


健二のように我慢しない性格をしていれば、こんな風にもならなかっただろうに。


いつの間にか彰に講義の代行を頼む生徒たちが増えていて、断ろうとすると「友達だろ?」と、頭を下げてくる。


友達?


一体いつ、どこでどうやってそいつと遊んだか。


そんな記憶なんてひとつもなかったけれど、なかなか断ることができなかった。


そんな毎日を繰り返して少し疲れてきていたのは事実だった。


だから歩いているときフラついたり、鼻血が止まりにくかったりしても、疲れのせいだろうと考えていた。


なにせ今はアルバイトの掛け持ちもしているのだ。


いくら若くても体力は磨り減っていく。