始まりがあった。

だけど。

どこまでも続く果てしない何かには、終わりがあった。

途方に暮れ、彷徨い、行くあてなくなり、そして出会いが途切れる。
滑稽なまでに歩き続ける者の末路は、いつも。

「解放」ではなく、「蝕み」だった。

一人が言う。すると、立て続けに他の一人、二人が賛同する。
その人たちは、すでにループ内に陥っていることにすら気づかずに終わりを迎える。
それは生も死も……恋も。
全て同じことなのだ。

恋。その始まり。

人の数だけ色とりどりに、鮮やかに。
隠し立てるものがなくなる、そんな色。
年による隔たりが薄れる感情のひとつ。
それ故に恐ろしく、誰にとっても未知数である。
言葉足らずに、無慈悲に。愛の言葉を口にしてはいけない。
もし、そんな言葉を口にしてしまった暁には、当然己に返ってくる。
何倍、何十倍と、己が力尽きるまで、その災厄は降り注がれる。
それは誰にも止めることは出来ない。
その災厄を、人は色んな言葉を濁して、ある意味にする。

「嫉妬」「憎悪」「妬み」

きっとこれは、ほんのひと握りに過ぎないほどちっぽけな意味なのだ。
この世界には意味を介した言葉が数知れず存在している。
人の数がどれだけ多く、知能豊かであったとしても。
避けられないものがあるのだ。
過ちを冒してしまった人で、すぐに正すことが出来る者もまた、数少ない。
一度は素直に謝れた者が、次も同じようにするとは言いきれない。
その巡りも、無限大に拡がっている。
それでも人は恋をして、愛されたいと刹那に願う。
自らそのスタートラインへと立つのだ。

もう、後戻りは出来ない。その路線の上に、君はいる。

「覚悟はいいか?」

さぁ、始めよう。
この恋に終わりがあるのかを知る旅を。