ブルーヘヴンの彼方に

乱れた呼吸を整えるように、僕は足を止めてバッグを一旦地面に置いた。

「うっ……」

 重量感のあるものを持って走るのは、体力的にかなりきつい。ただでさえ病弱だった僕は、過去に一度大きな心臓の手術をしている。幸いほぼ完治はしているが、激しい運動は今でもできない。

「はぁ……。ちょっと、無茶し過ぎたな……」

 軟弱者――。そういわれても仕方がない。この頼りない細身の躰で、一体何ができるのだろう……。

「……」

 さっきまでの激しい感情は、自己嫌悪と同時にすっかり冷めてしまっていた。

というか、急に彼女に会うのが怖くなった。