気が付けば、僕は駆け出していた。
 会えるという保証はどこにもないけれど。ただ、心のままに。
 僕は大きなボストンバッグを肩にかけたまま、彼女がいるであろう花屋の店先へと向かった。


「はあ、はあ……」

 この角を右に曲がれば、すぐそこにある。
 『ロゼッタ』の看板――


――見つけた。