ブルーヘヴンの彼方に

(ふざけるな? ふざけてるのはどっちだよ)

 ああ、悔しいけど……今日はもう退散だ。このままだと僕の心がもちそうにない。

「もっと男らしい太い声期待したのに。何か、声が女々しくて萎えた。キモいんですけど~」
「ときめいた時間返せよ~」
「クソ陰キャ」

 何だよ、この手のひらの返しようは。それに、何て耳障りな不協和音……。

「陰キャは陰キャ同士仲良くしてればぁ? ていうか寧ろそこ付き合っとけばいい、みたいなぁ?」
「ぎゃははっ、ウケる!」

 まったく、言いたい放題言ってくれる。
 正直、僕の声がこんなに馬鹿にされるとは思わなかった。悔しいけど、今……かなりグサリと来ている。
 好きでこんな声になったわけではないのに。でも、別に嫌いではなかった。だからこそ、余計にショックを受けた。
「エディ君……」
「……大丈夫だ。相手にしない方がいい」