でも、少しは場の雰囲気を楽しむことも大事だ。何かいい策はないだろうか。理由はどうあれ、貴重な時間を使ってきてくれた女の子たちのことを思うと、今は我慢の時だ。
「山本ナイス~!」
「健太、珍しくいいの連れてきたじゃん!」
「ねぇ、早く始めよう! アユ早くイケメンとしゃべりた~い」
「じゃ自己紹介からァ~。そこの陰キャメガネ君からどうぞォ」
 紹介の仕方が上から目線過ぎて、聞くに堪たえない。
「さ、さ、佐々木……武蔵、です……。」
「はい次ィ~」
「待ってましたあ~」
 おいおい。それはさすがにないだろう。
武蔵くん、ポカンとしちゃってるよ。彼、まだ自分の名前しか言っていないじゃないか。
「本日の主役ゥ、ど〜ぞォ!」

(うっっっざ!)

 ダメだ、もう我慢できない。