かわいそうに……断れなかったんだな、僕同様。気持ちが痛いほどわかりすぎるから、彼が気の毒で仕方がない。
 僕は断ったのに連れて来られたし。
「……まあ、せっかくだからおいしいごはんでも食べながら話しませんか?」
「そうですね。よかった、神城さんが話の分かる人で」
「エディでいいですよ」
「え?」
「僕の下の名前です。というか、山本君と同い年?」
「はい」
「それなら僕も同い年だから、敬語なしでいこう」
「は、はい。じゃなくて、うん。僕は……武蔵(むさし)。めっちゃ名前負けしてるけど」
「そんなことないよ。武蔵君、よろしく」
「よろしく、エディ君」
とりあえず、仲間確保。今日はもうこれで十分だ。もともと期待していなかったし、武蔵君と話していればそれなりに楽しく過ごせるだろう。

「はいはァ~い。 とりま中入ろォ。六人で予約した山本っす~ゥ」
 僕たちは、掘りごたつの個室に案内された。
 コースメニューの前菜から運ばれ、ドリンクが揃ったところで乾杯。
(早速だけど、もう帰りたい)