ブルーヘヴンの彼方に


「さて……」

 学校を出たはいいが、何も考えずに来てしまった僕は道なりに芹山駅方面まで歩いた。
 今日こそ、会えるだろうか?

「……はぁ」
 僕には今、とても気になる子がいる。ここ数か月前の出来事なのだが、僕にとってあの一瞬は忘れがたい。運命というには大げさかもしれない。ほんの数分間の出来事だったのに、あの日以来、僕の中で彼女の存在が大きくなりつつあるのだ。名前も、歳も、住んでる場所さえ知らないというのに。

(もう一度、彼女に会いたい)

 あの出会いが、こんなにも忘れられないものになるなんて。