誌面に写った、悪戯(いたずら)な笑みを浮かべるELLIE。果たして、彼女は本当に悩みがないのだろうか。
「年頃の乙女の悩みは尽きないね~」
 梨歩はCanDyを閉じた。
「こういうのがあるから悩みが増えるんだろうな」
「梨歩、それ言ったらおしまいだって」
「だよね」
 梨歩は私に正面から抱きつく。
「キャッ! ちょっと梨歩――」
「う~ん、やっぱ若葉の抱き心地最高!」
「もう、やめてってば」
「いいじゃん。ねぇ、若葉。ホントに彼氏いないの?」
「いないわよ、全然」
「えー? 若葉の高校には男子いなかったの?」
「園芸科はほとんど女子ばかりで、男子はクラスに2人か3人くらいしかいなかったわ。卒アル見たでしょ?」
 女子が大多数を占めていた学校の中でリア充を満喫している生徒は限られている。まして、男子との交流よりも植物を相手にしている時間の方が遥かに長い。しかも、私はどちらかと言えば人間より植物にいちいちときめいていた。手塩にかけた植物が発芽したり、花開いた瞬間など、日々の成長を実感できる方がたまらなく愛おしいと思うのだ。