「では、山口さん。まず……あなたが本校を志望した理由を教えてください」
「はい」
 視線は、()らしちゃダメ。見つめ過ぎてもダメ。
 質問をした面接官の方を向いて、堂々と答えるんだ。
(面接官の、口元を見て……)

「私が御校を志望しましたのは……」
(余計なことは考えずに)

「幼い頃から花が大好きで――」

 質問者の両隣の面接官は、私の回答の記録をとっているのか、机の上に置かれた用紙にペンをさらさらと走らせている。

「将来は、花と関わる仕事に就きたいと考えております。御校には、他の学校にはない充実した資格取得対策講座や店舗実習など、実践の中で学ぶ機会が多くあるというのが私にとって非常に魅力であり――それが最大の決め手です。もし、御校に入学いたしましたら、より幅広い分野で活躍できる、プロのフラワーデザイナーになるための貴重な学びの機会を、有効に使える4年間にしたいと思いますッ」