「私、病院来る前にマスド寄ってきてね。これ、店長さんから梨歩にって」
「わぁ!」
新作のもちもちドーナツと、スタッフ全員からの寄せ書き。
〈DEAR 梨歩〉
「みんな、梨歩のこと待ってるって言ってたよ」
「……そうだよね。ファンが待ってるから、早く元気になんなきゃね」
「あ、あとこれ。彼氏からだって」
「え、涼ちゃんから?」
”涼ちゃん”とは、梨歩がバイトを始めたばかりの頃に店頭で知り合った、マスド常連の柴田涼平さんという大学生の梨歩の彼氏だ。確か今年3年生になる年だったはず。
「すごい、梨歩の似顔絵。上手いのね、彼」
「そりゃあね。だって、現役の美大生だもん」
「ところで、お見舞いには来てもらっているの?」
「それがさあ、まだ一度も来てくれたことなくて。課題作品の制作に追われてなかなか忙しいらしいんだけど。一応連絡は取れるからメッセージのやり取りだけしてる状態で」
「え、そうなの?」
それは知らなかった。てっきり一度くらいは来ているものだと思っていたのだけど。一番に駆けつけるとか、そういうタイプではなさそうなのは何となく想像はつく。でも、それはさすがに不安にもなるはずだ。
「わぁ!」
新作のもちもちドーナツと、スタッフ全員からの寄せ書き。
〈DEAR 梨歩〉
「みんな、梨歩のこと待ってるって言ってたよ」
「……そうだよね。ファンが待ってるから、早く元気になんなきゃね」
「あ、あとこれ。彼氏からだって」
「え、涼ちゃんから?」
”涼ちゃん”とは、梨歩がバイトを始めたばかりの頃に店頭で知り合った、マスド常連の柴田涼平さんという大学生の梨歩の彼氏だ。確か今年3年生になる年だったはず。
「すごい、梨歩の似顔絵。上手いのね、彼」
「そりゃあね。だって、現役の美大生だもん」
「ところで、お見舞いには来てもらっているの?」
「それがさあ、まだ一度も来てくれたことなくて。課題作品の制作に追われてなかなか忙しいらしいんだけど。一応連絡は取れるからメッセージのやり取りだけしてる状態で」
「え、そうなの?」
それは知らなかった。てっきり一度くらいは来ているものだと思っていたのだけど。一番に駆けつけるとか、そういうタイプではなさそうなのは何となく想像はつく。でも、それはさすがに不安にもなるはずだ。