「はい、次の方。どうぞ」
「は、はい!」
 扉越しに、入室を促す面接官の声。
「……」

 まずはノックを2回……じゃなくて3回ッ!
(2回はトイレだ。危ない危ない)
 落ち着いてゆっくり鳴らす。3回目の音をしれっと付け足すようにして。そして、私は扉の取っ手に手をかけた。
「失礼、いたします」
(大丈夫、きっと)