君がいて 僕がいて
    世界が次第に色づいて

「あぁ……なんてミステリアスな歌声なの」
 梨歩はすっかり聴き惚れている。
確かに、ちょっとハスキーだけど()(とお)った――相対する性質を絶妙に織り交えた中性的なハイトーンヴォイスだ。

    幸せな時を刻む日も
    終わり告げる鐘が響く日も

 どこか(はかな)げで、驚くほど繊細なのに要所要所が力強くて。抑揚の付け方から、かなりの声量の持ち主であることは、素人(しろうと)の私にでもわかるほどだった。

    すべて君と僕がいた
    愛しい記憶 永遠(とわ)より永い
    宇宙(そら)の彼方に
    いつまでも どこまでも
    届け 響け