悲しげにこだまする梨歩の言葉が何とも悲しくて、私はやりきれない思いでいっぱいになった。何をしても、何もしてあげられない状態が続いて、私の方まで無力感に(さいな)まれそうになった。大学入試も控えていて、正直気が気じゃない状態で臨んだ試験。何とか合格はできたものの、思えば高校入試の時も1ヶ月前に緊急搬送されて、ヒヤヒヤさせられたっけ。そして、私はこの時に初めて、梨歩の病を知ったのだ。先天性の病であったにも関わらず、彼女は周囲にそんな素振(そぶ)りを微塵も感じさせないほどパワフルで、とにかく明るい太陽みたいな存在だった。