「あれ? 誰もいない……」
 途端に心細くなった。
「他の学部を受ける人は……別の階なんだ」
 高校入試の時とはまた違った緊張感があり、私は「受験とは、自分との孤独な戦いだ」と言っていた中学時代の担任の先生の言葉を思い出し、その意味を改めて噛みしめていた。
(ダメダメ、弱気になっちゃ!)
 この大学に行くと決めたのは、他でもない私自身。自らの希望と高校からの内部推薦で実現した、千載一遇のチャンス。
「絶対に、この枠を勝ち取るんだ」と意気込んで臨んだことを思い出し、受験者の待機スペースで一人、面接の作法や流れを確認する。