ブルーヘヴンの彼方に

「!!」
 梨歩の表情が引き()った。

「梨歩、この人はロゼさんって言ってね……」
 私はすかさず梨歩にロゼさんを紹介した。

「わ、若葉っ……。何普通に会話してるの?」
 戸惑う梨歩。

「何って、ロゼさんはエディさんのバイト先のカフェのマスターで――」
 梨歩が私の説明を遮る。
「い、いくら何でも怪しすぎでしょう! こんな網タイツに、真っ赤なハイヒール履いたオッサンのどこが――」
「んまっ! オッサンですって!?」
「オッサンじゃなきゃ何だっていうのよ、きンも」
「むっきぃ~! アンタ、超失礼な子ね。アタシはまだ35よ。ロゼ姐様とお呼びっ!」
「はいはい、わかったよ。オッサン」
「ぐぅ……」
 ロゼさんが下唇を噛みしめている。
「ちょっと、梨歩。挑発しないの。失礼でしょう」
「あ、バレた?」
「まったく……」