「アサ君のお母さんとキリトとミナトのお父さんが姉弟で、それぞれが国際結婚。大まかにいうと、アサ君はアメリカ、キリトとミナトはロシアの血が流れているってとこかな。ちなみに僕らの出会いは親同士のコミュニティで繋がって以来、家族ぐるみの付き合いになっていてね。なかなか濃いでしょ」
「う、うん。そんなこともあるのね」
 国際色豊かなメンツだと思うだろう。でも、ここにいる全員が日本生まれの日本育ち。アサ君を除くメンツは、もう一方の国の言葉はおろか、英語すら満足に話せない。だから「見かけ倒しもいいところだ」なんて揶揄されたり、ハーフ故の悩みで一番多いのが実はこれだったりする。
 
「ねえ、そこの女。あんた誰?」
 しまった、もう一人いたんだった。
「……エリサ、いたなら挨拶しろよ」
 エリサは僕を俄然無視、そして若葉ちゃんの方に向かって歩いていく。
「こ、こんにちは」
 彼女がエリサに挨拶する。
「ねぇ、あんた。兄貴の女?」
「はい?」
 唐突なエリサの言動に、声が上ずる彼女。
「へえ。……いいの持ってるじゃん」
「キャッ!」
 一瞬、何が起こったのかわからなかった。
「兄貴、いいの捕まえたね」
「エリサ。今、彼女に何をした?」
「挨拶」
「ウソつけ」
 胸元を隠すように押さえている彼女の様子を見れば、何が起きたか一目瞭然だ。
「ごめん、若葉ちゃん。エリサは僕の妹で……ちょっと性格が歪曲(わいきょく)していて……」
「何さ、ウチ褒めてやってんだよ。ねぇ、若葉。兄貴ひどくない?」
「は、は?」
 あまりの不躾なエリサの態度に、彼女はあっけにとられている様子。