涼ちゃんは、あたしのせいで……?
 もっと早く気づいてあげていたら……。

 未だに信じられない。
 受け入れがたい現実。
 それでも、お姉さんの言葉の中には涼ちゃんの強い思いが溢れていて。
 まるであたしをなだめるように、お姉さんの声で伝わってきた。

 ――梨歩を失いたくない。
 ――梨歩を泣かせたくない。
 ――心配かけたくない。
 ――生きていてほしい。

 ――だから、自分がいなくなること。いなくなった後も、すぐには言わないでほしい。
 ――せめて、梨歩の誕生日が過ぎるまでは。
 ――それまでに自分がいなくなってしまったとしても、悲しい誕生日にならないように。

 そんな小細工までして、涼ちゃんはあたしよりも先に空へ逝っちゃった。

 そんなだいじなこと、どうして言ってくれなかったの?
 そう言いたかったけど、あたしの病状を知っての決断だと思うと何も言えなかった。
 でも、ひどいよ。
 あたしに直接言わずに、こんなにも早くいなくなっちゃうなんて。