*
「梨歩!」

 若葉? そこに、いるの?

「梨歩ッ! 起きて! 起きてよ!」



「梨歩……」
 
 ――誰? 
 
 知らない声が、若葉の近くから聞こえる。
 
 でも、この声。どこかで聞いたことがあるような、懐かしい響きだ。


 ああ、眩しい。
 
 徐々に視界が鮮明になっていく。


「梨歩!」



「わ、か……ば……?」


 若葉。
 やっぱり若葉だ。あたし、戻ってこられたんだね。
 よかった。

「梨歩……?」


 あ、この声。さっきの。
 知らないけど、懐かしい声の人。


「え……」

 嘘でしょ?
 まさか、まさか?