「どうして、ないているの?」

 懐かしい声が響いた。
 思わず振り返る。
(あ……!)
 ブロンドの髪の隙間から覗く、鮮やかなグリーンの瞳の少年。入院着を纏ったその小さな躰から伸びた、儚げだけど優しく――力強い腕。

「ぼくは、かみしろエディ。きみは?」

(エディ……)

 小さなエディの手が、もっと小さなあたしの手を包む。その手が温かいかどうかなんてあたしにはわからないはずなのに、何故か今のあたしの手にも、彼の手の温もりが伝わって来るような錯覚に陥る。