(ここは……)
 辺りは四方八方、光すら感じない漆黒の闇。視界ゼロの空間に突如放り込まれたような感覚に陥ったあたしは、とっさに自身の頬に触れる。これが夢か現か幻なのか、確かめるように、そっと。

『……』

 ――触れてみたけれど、よくわからなかった。感触は確かにあるのに、不安と恐怖はいつまでも残ったまま。
 何も見えないからだろうか。あたしは今も、決して目を閉じているわけではない。寧ろ、凝らして見ているくらい。なのに、暗黒一色。