突然の悲報に涙する彼女。
 僕は今日、彼女を笑顔にするためにここまで来た。でも、今はそんなこといってられない。
「行こう」
「え?」
 行先変更だ。
「君の友達のところ」
「で、でも……」
「いいから。どこの病院?」
 迷っている時間はない。
「や……山野井総合病院まで、お願い……」
「了解――」
 ビンゴ。懐かしい響きだ。運命のいたずらも、度が過ぎる。
 僕は駐車場をUターンし、病院方面へと車を走らせる。
(間に合ってくれ)
 どうか、どうか。
 彼女にこれ以上の悲しみを与えないで。