「ごめんなさい……。私、行かなきゃ」


「え?」
 僕は路肩に車を寄せて一旦停止させた。
 
「梨歩が……。友達が、危篤、だってっ……だから私、行かなきゃ……!」
 動転した彼女が声を詰まらせる。
 
「ごめんなさい……っ。せっかく連れてきてくれたのに……っ。お友達とも約束までしてくれたのに……」
 徐々に嗚咽交じりになっていく彼女の声が、あまりにも悲しくて。
「若葉ちゃん……」
 思わず、彼女を抱きしめた。
「本当に、ごめんなさい……」
「大丈夫。きっと大丈夫だから」
「う……っ、ご、ごめんな、さ、い……」