「若葉ちゃん」
「はい」
「敬語、今から禁止ね」
 まだまだぎこちないのは、これが原因だ。僕ももっと早く気付いて言ってあげればよかったのだけど。
「あ、はい」
「ダメ、罰ゲームだよ」
「ええ!?」
 彼女の反応はいちいち面白い。生真面目というか、固いというか。
 弄りがいがあるというか。
 ああ、そうか。
 男は好きな女の子につい意地悪したくなる習性があるんだっけ。
 いや、僕だけか? あまりやりすぎると本気で怒られそうだしな。それだけは気を付けよう。
「ねえ。トイレの後ってさ、何か無性に飲みたくならない?」
「え?」
「ああ、ごめん。女の子にそんなこと聞いちゃダメだよね」
 早速すべった。調子に乗るんじゃなかったな。