そうだ。そもそも、物足りなくて当然だ。だってまだ、お互い出逢って日も浅い。そんな短期間ですべてを知ったかのような顔をする方が傲慢だ。
 運転免許を取得してからというもの、週末はいつも母の買い物の送迎に付き合わされていた。それまで母は自分で運転して乗っていたのに、僕が運転できるようになった途端に「エディ、お母さん運転コワイから買い物連れてッテ」と早々に助手席を陣とるようになってしまった。一度要求に応じたが最後、味を占めたのか徐々にそれが日課になっていたため、その現場を運悪く専門学校のクラスメイトに目撃され、僕はすっかりマザコンのレッテルを貼られる羽目になった。それを又聞きした山本君が、からかい半分で例の合コンに無理矢理僕を連れ出したのだ。彼のことは武蔵君がねじ伏せてくれた。にもかかわらず、懲りずにまだ僕に声をかけてくるメンタルの図々しさと来たら――