思いがけない、彼女の言葉。
「私も、ずっと……あなたに会いたかった」
頬を伝う涙。
「若葉ちゃん……」
風向きが変わった。夕陽をバックに、彼女は僕の方へ向き直る。彼女の美しい漆黒の髪が、西日の方へ流れるように揺れている。
「私、恋なんてしないと思っていた。誰かを本気で好きになるなんて、絶対にないと思っていた。どんなに本気で好きになったって、いつかは終わりが来るんだって……ママを見て、ずっとそう思っていたの」
静かな波の音。彼女の潤んだ瞳。
彼女は続けた。
「……怖かった。誰かを好きになっても、いつかそうでなくなる日が来るんだって。いつも終わりを連想しては、私には無理だって決めつけてた。もっと素直になれたら、どんなに楽だろうって思った時期もあった。でも、今の私は――たとえどんな終わりが来たとしても……エディさんのそばにいたい」