我ながらこっ恥ずかしいことを言っていると思う。でも、今更言葉を選んでいる余裕もない。寧ろ、一分でも一秒でも、とにかく彼女との会話が途切れないように、多少一方的にでも思いのままに話していたい。

 こういうところは、父さんに似たのかもしれない。好きになったら一直線というか、狙った獲物は必ずものにするハンター精神っぽいところは。
「実は一度、無性に君に会いたくなって、あの時の青い薔薇の花だけを手掛かりにあの花屋の前まで行ったことがあるんだ。結局、怖気づいて引き返しちゃったんだけどね」
「え!?」
 ほら、絶対に引いている……。
 でも、話さずにはいられなかった。彼女の前で格好つけることよりも、誠実でいたい。その思いの方がうんと強かったから。

 格好をつけたところで、すぐにボロが出るだろう。 
 それよりも、今この時間を大切にしたい。
 これが最後になるなら、いっそのこと、もっと知ってほしい。格好悪い僕のことを知ってから、「ごめんなさい」と言って盛大に振ってほしい。
 それでも僕は。