最初に口を開いたのは、彼女だ。
「あの……、私、未だに信じられなくて」
「え、何が?」
「エディさんと、ここにいること」
「ああ、それは僕も思ってたよ」
「ですね。不思議な感じ」
 潮風が彼女の長い髪を揺らす。
 それは夕焼けの光を纏ったビロードのように靡いている。
「髪、すごくきれいだね」
 あまりの美しさに、思わず触れてしまった。
「え、ああ。えっと、その……ありがとう、ございます……」
 そこではにかむように笑う彼女もまた可愛くて。
「ごめん、勝手に触っちゃって」
「い、いいえ」

「ところでさ、僕と初めて会った日なんだけど」
「はい」
「すごく嬉しそうな顔していたよね。何かいいことでもあったの?」
 彼女はさっと僕から視線を逸らす。