あっという間の3年間だった。
 昨日高校を卒業したばかりとは思えないほど、あっけなく過ぎていった時間を懐古(かいこ)するように、私は最後の制服姿が写った写真をケータイの画面越しに眺めた。
 同じ園芸科クラスの友達、(きょう)ちゃんこと水谷(みずたに)響子(きょうこ)はアパレル会社に就職、アスみんこと(はら)あす()は、幼稚園の先生になるため地元の短大に進学。みんなそれぞれ夢があって、それぞれの道を行く。こういう日がいつか訪れるのはわかってはいたけれど。いざ訪れてしまうと、何ともいえない寂しさ、侘びしさが一気に募り、あれだけ強い意志を持って選択した自分の進路に一瞬迷いが生じる。