「お待たせいたしました。ケーキセットでございます」
「あれ、私チーズケーキ頼んだんだけど」
 やられた。ジェームズめ。
「も、申し訳ございませんッ。すぐにお持ちします」
 ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる不気味なオカマがカウンター越しに「可愛いわねェ~」「恋っていいわねェ~」「青春よねェ~」等と連呼している。

「オーダーミスです。タルトじゃなくてチーズケーキ」
「あ~らぁ、ごめんねぇ。ついでにお詫びのクッキーそこにあるから一緒に持って行っといて~」
「まったく……」
 だいたい日頃、人の話を聞かないからこうなるんだ。しかも、その尻拭いを僕にさせるとは。図々しいにもほどがある。とはいってもお察しの通り全く聞いちゃいなかったんだが。