「あの、もういいですか？」
　僕は扉の取っ手に手をかけた。
「……エディ？」
　ロゼさんが顔色を変えた。
「エディ。あなた、本当にエディなのね？」
「そうですけど、それが何か？」
「まあ、こんなに大きくなって……」
　ロゼさんは突如瞳を潤ませる。
「いや、僕は知りませんって」
「そんなはずないわ！　」
　涙目で叫ぶロゼさんは、驚きの一言を発した。
「アタシ、あなたの担当ナースだったじゃないの……」
「はい？」
　つまり、僕が患者で、ロゼさんが看護師。唯一あるとすれば、幼少期に心臓を患って入院していた時ぐらいしか思いつかない。
「まさか、あの時の？」
　とりあえず、話を合わせておこう。
「嬉しい！　やっと思い出してくれたのね」
　いや……全然覚えてない。仮にいたとしても、こんな奇抜なキャラクターなら絶対に忘れないだろう。