「でしょお? さっき店先で張り紙にくっついていたからとっ捕まえたのよお」
 僕を昆虫みたいに言わないでほしい。止まる花を間違えただけだ。
「あの、僕そろそろ……」
「ささ、これから面接するわね」
「いや、履歴書とかないですし。急展開過ぎて」
「今度持ってきてくれればいいわよ」
「いや、それ普通にダメでしょう」
「ちょっとアンタ! さっきから何なのよ、口答えばかりして!」
 ジェームズと呼ばれた筋肉質なオネエさんが、鋭い眼力で僕を睨む。
「ここがただのカフェだと思ったら、大間違いよ」
「まあ、そうですね。明らかに常軌を逸してますし……」
 咄嗟に出た本音。