「な……ッ」
 こ、これは……。
「あーごめんごめーん」
 エリサが戻ってきた。
「ブラ忘れた。ははは」
「ッ……!」
 世の女の子って、みんなこうなのだろうか?
 まさか、あの彼女も?
 いや、そんなはずはない!
 きっと……。
「パリコレとかだと、何着も脱ぎ着するからモデルはみんなスッポンポンらしいよ」
「ここはパリでもコレクションでもないから。せめてプライベートゾーンと呼ばれるところくらいは隠してくれよ、頼むから」
何で僕が頼まないといけないんだ。
「もう、めんどくさいな。これだからドーティーは」
「最低限の恥じらいってものは忘れてくれるな」
僕はエリサに放置されて湿ったバスタオルを巻き付け部屋の外に追いやった。
「何このタオル、くさ!」
「自分で持ってきた記憶もないのか。ここは脱衣所じゃないから」
「おお、なるほど。ある意味ここは立派な脱衣所だわ」
「いや、そういう笑えない冗談はいいから」
僕は部屋の鍵を閉めた。何か外で喚いているが、僕はもう知らない。
このまま実家に住み続けるのは危険だな、と本能的に感じた。