『おばあちゃん、どうしてお手紙のお仕事をしているの?』
ㅤ小さい頃の私はまだ分からなかった。
どうして祖母は手紙屋を行っているのか。
手紙の力は何なのか。
ㅤ ──それはね、お手紙には力があるからだよ。
手紙だからこそ、伝わることがあるの。
ㅤこの手紙屋はおばあちゃんのお母さんがたくさんの人に気持ちが伝わるように願って出来たものなのよ。
ㅤ手紙はね、文字の贈り物なんだよ。
だから、それをしっかり届けるために私は手紙屋をやっているの──
『この可愛いとりさんはなあに?』
ㅤ ──それはね、ぬいぐるみだよ。
詩乃が持っている、くまさんのぬいぐるみとはちょっと違うかな。
詩乃がもう少し大きくなったら教えてあげるね──
ㅤあの頃の私は町で密かに流れている噂すら知らなかったのだ。
──ここ、望月手紙店は過去や未来に手紙を送ることができるらしい、という。