ㅤ数ヶ月後、私・音海結衣は親友のお墓参りに来ていた。
『過去は変えられないから、今を楽しまなきゃね。』
そう笑顔で言う千佳が今も頭の片隅に存在している。
ㅤ私の手には見覚えのある封緘された手紙。
信じ難いけれど、千佳からだろう。
ㅤ文句が書かれているのだろうか、それとも生きられないことに対しての哀しみが書かれているだろうか...
私は、恐る恐る封筒を千佳の前で開けた。
ㅤ──二年後の結衣へ
ㅤこの手紙が無事、届いているかな?
他人行儀な手紙、ありがとう。
決して嫌味じゃないからね。
どうやって手紙を送ってきたのか不思議に思ったけど、一昨日に碧海が話していたのを思い出したよ。
ㅤこちらこそごめんね。
私のことを考えてくれたんだよね。
ㅤ色々言いたいことはあるけれど、これから先私が羨ましいって思うくらい色んな事をして、たくさん楽しんでね。後悔しちゃダメだよ。
ㅤ私も大好きだよ。
結衣と出会えて良かった。ありがとう。
ㅤ P.S. 今もこれからも、ずーっと結衣のことを見守ってるからね。
ㅤ──千佳より
ㅤそして、封筒の中には他に写真が入っていた。
私と千佳の大学を入学した頃の写真が。
ㅤそれを見て、私は涙がポツリと零れ落ちた。
千佳と過ごした過去の思い出に思いを馳せながら、涙が堰を切ったように次々と流れ出した。
ㅤ秋の訪れを感じる肌寒い日、私は一人、しゃがみこんで静かに泣いていたのだった。