当然とでも言う日野くんの声色に、封筒を渡そうとする手がぴたりと止まった。彼は平然と封筒と私を見下ろしている。
間違って、ない? これが? 瞬きを繰り返すばかりの私に、彼はぐいっと明日の分の封筒を渡してきた。
「だって買い出しに二時間かかるとして、帰ってから献立考えたり、実際作るので二時間くらいはかかってるよね?。材料費、それで二人分の弁当箱持ってくる手間とか、全部合わせて考えれば妥当じゃないかな。もっと足そうか?」
「いやいくら何でも多すぎるよ、受け取れないよ。実費より五倍くらい多いし、明日の分合わせたらもっとになっちゃうし、こんな額絶対受け取れないよ」
日野くんの言葉に愕然としながら、私はこちらに渡される封筒ごと突き返そうとした。しかし彼は封筒を見つめ「あー」と間延びしたような声をあげる。
「税金に引っかかるか。確かにそうなると、五十嵐さんに手間かけさせちゃうね」
税金?