「じゃあ、メアドか電話番号教えてよ。それかトークアプリのID。集合場所使えなかった時のためにすぐ連絡入れたいし」
「えっそ、そういうの、事務所とか駄目なんじゃ……?」
「五十嵐さんが売ったり晒さなきゃ大丈夫だよ」
「えっ、わ、分かった……」
ここで断ると、私が連絡先売ったり晒す人みたいだ。どこか切迫しているようにも聞こえる日野くんの言葉にうなずいて私はポケットに入れていたスマホを手に取った。
「えっと、私がいま電話すればいいかな? それとも日野くんが――」
「良かったらスマホ貸してよ。さっきからずっと俺の我儘聞いてもらってるし、俺が登録しておくよ」
「え……」
「それくらいはさせて? 俺弁当作ってもらって、昨日買い出しまでさせちゃってるんだから」