「はい、到着」 日野くんに連れられやって来たのは本校舎とは別の、調理実習室や実験室がある特別棟の最上階の教室だった。彼はポケットから鍵を取り出すと慣れた手つきで扉を開く。 「どーぞ」 中は普通の教室と同じだけれど、椅子や机はいつも私たちが使っている教室よりかなり少ない。物置として使われている場所だろうか。後から日野くんは扉の鍵を閉め、扉の窓を遮るカーテンも閉じてこちらに向き直った。