「ふふ、頭なんて下げなくていいのに。こっちは作ってもらう立場なんだし」 「あっあの、日野くんこれ」 「ありがとう。二人分作るの大変だったよね。作ってもらえてうれしい」 こちらに駆け寄って来た日野くんに弁当を差し出すと、彼は顔を綻ばせた。喜んでもらえて嬉しい。私がまた頭を下げて去ろうとすると、彼は私の手首を掴んだ。 突然腕を掴まれて驚いた私は反射的に後ずさる。けれど日野くんはぐっとこちらに顔を近づけてきた。