天高の偏差値は新設校とあって本当に平均値を出されていた。死ぬ気で受験勉強をしなければいけないという状況……でもなかったけど、気を抜けば落ちてしまう。偏差値を落としてゆとりある学校を受験すれば、私の性格上、気を抜いて料理を作って食べてしまう。結局どこの高校を受験するとしても私は受験勉強を頑張る必要があった。
だから受験に臨むにあたり家にある料理本はつい読んでしまうからと金庫に入れて封印した。夕食作りを買って出たり、おやつを作ったり、料理動画を見る生活から料理を抜いて、勉強に切り替えたのである。
端的に言って心が壊れそうだった。
自分で決めてやったことだけど、食への関心一直線で生きていた私にとって、長く、苦しい日々だった。