周りの女の子たちは皆彼に夢中で、顔を赤くしながら小麦粉をふるいにかけていたり、牛乳の計量をしている。目は彼へと向いているのに溢したりする様子はなくてただただ感心してしまった。私なら絶対大惨事を引き起こすだろう。
「料理――あんまりしないかな。食べることは好きなんだけど、仕事で忙しくて作れないから」
「えー! じゃあ私差し入れとかするよ?」
「あっずるい。私も作ってくるよ! オムライスとかしか作れないけど!」
「はは。でも事務所に怒られるから、気持ちだけ受け取っておくね」
日野くんは女の子たちと話をしながらこちらに視線を向けた。私も彼に顔を向けていたからばっちりと目が合ってしまう。