一向に手を離す気配がなく顔を上げると、日野くんの淡い枯茶色の髪から深い黒色の瞳が揺らめくように覗いていた。

 その目が何故かじわじわこちらに迫ってくる気がして、私は視線を逸らせなかった。やがて彼は冷えたような、白けたような目をして立ち上がり柔らかく微笑む。

「プリント、拾ってくれてありがとうね。ごめんね五十嵐さんの貴重な時間潰しちゃって」
「ううん……あれ、それって……」