彼の顔はどのパーツも均整が取れているらしい。すらりとしたいで立ちや、少し大人びた雰囲気が「いい」と聞いたけど、特に近づきたいと思わない。
これで彼が料理番組に沢山出ていて料理の腕がプロ級であったなら、羨望の眼差しで私は見ていたと思う。勇気を振り絞り「あの味付けどうやってるか教えてください!」と聞いていただろう。
つまるところ私は彼を見るたびに、ときめきを覚えるのではなく、自分は料理にしか興味が持てない人間なのだろうかと考えてしまうのであった。
「ありがとう五十嵐さん。助かったよ。これ先生に回収頼まれた大事なプリントで…………」