優しい声色に、ふっと張りつめていたような空気が和らいだように感じた。

 目があまりに真剣だったから騙されてしまった。本当にびっくりした。ニュースとか骨とかあまりに具体的に言ってたから本気で戸惑ってしまった。

 日野くんの話の仕方はなんだか想像を促すような感じだったし、よく分からないけど演技力みたいなのもすごかった気がする。

「冗談やめてよ……びっくりしたよ」

「ごめんごめん……でも冗談じゃないけどね」

「あ、あんまりからかうと私も怒るからね」

「大変だ。おかわり禁止にされちゃう」

 焦ったようにおどける日野くんを見てほっとした。心臓に悪いけれど、彼と囲む食卓は本当に楽しい。美味しく食べてくれる様子も見られるし。

 私は恥ずかしさを隠すようにスプーンを持ち直し、食事を再開したのだった。